ここしばらくこのブログも放置していた。
投稿がイージーなSNSばかりに投稿を繰り返し
半ばこのブログの更新を忘れかけていたのだ。
そんなタイミングでお邪魔したショップのスタッフさんに
「最近ブログ更新してないですね。結構楽しみなんですよ」
突然にそんな嬉しい言葉をいただいて驚いた。
こんな拙文でも読んでくれる人がいて
しかも楽しみにしてくれる人がいたとは。
ありがとうございます。また時々更新するようにします。
***
さて。
最近こんなバイクを撮影した。
ハーレー・ダビッドソン
FXSTC ソフテイル・カスタム。
このモデルには深い思い入れがある。
30年も前に僕が初めてハーレーを知ったとき
最初に惚れ込んだのがこのモデルだったのだ。
30年前。僕が小学生の頃。
当時の僕はとにかくクルマが大好きで
中でもポルシェ928に強く憧れていた。
そんな僕のハーレー初体験は突然に訪れた。
「地元のテレビ局が主催する輸入車ショーがある」
父からそう聞いてメーカーのラインナップを見ると
その中にはポルシェの名前も並んでいるではないか。
父に頼んで連れて行ってもらうことになった。
会場に入ってすぐのところにポルシェは鎮座していた。
憧れのマシンを父のカメラ「オートボーイ」で撮りまくった。
僕は散々ポルシェを撮って満足してしまったのだが
せっかく来たのだからと屋内の展示にも足を運んだ。
そこで僕は運命の出会いをする。
会場の一番手前に並んだ巨大なバイクの群れ!
地元のハーレーディーラーがニューモデルを並べていたのだ。
大きな看板には「Harley-Davidson」の文字。
確か星条旗も飾られていたように記憶している。
「ハーレー…。これはアメリカのバイクなのか…!」
(姉の影響で視聴していたハリウッド映画や洋楽により
当時から僕は小学生にしてアメリカかぶれだった)
何かが僕の琴線を揺らしたのだろう。
気がつけば夢中で「ハーレー」の写真を撮っていた。
撮影枚数は先ほどのポルシェをいつの間にか上回っていた。
忘れられないのが一番前に並んでいたバイクだ。
細くて大きなフロントタイヤ。太いリアタイヤ。
高いハンドル。タンクに描かれたハーレーのロゴ。
マシンの前にはプレートが立ててあった。
そこに記されたモデル名こそ
『ハーレー・ダビッドソン
FXSTC ソフテイル・カスタム』であった。
僕はその言葉の意味も分からぬまま
なぜだかその言葉を丸暗記していた。
「…はーれーだびっどそん
えふえっくすえすてぃーしー
そふているかすたむ…」
そしてなぜだかこの時に思ったのだ。
「僕はいつかこのバイクに乗る!」と。
それは「いつか乗りたいなぁ」という"夢"ではなく
「必ず僕は乗るだろう」という"確信"だった。
不思議なものだ。
あれだけ憧れたポルシェにはそう思わなかったのに。
以来。僕はハーレーの虜になった。
退屈な授業の合間。ノートの端っこに意味もなく
「Harley-Davidson FXSTC Softail Custom」
そう書いてしまっている自分がいた。
熱しやすく冷めやすく飽きっぽかった僕だったが
このハーレーへの憧憬だけは全く色褪せることがなく
中学になっても高校になってもその憧れを抱き続けた。
通学用の自転車にハーレーのステッカーを貼ったり
部活の公式キャップをハーレーのロゴ入りにしたり
雑貨屋でハーレーのバンダナを買って集めたり
ギターのピックもハーレーのロゴ入りを選んだ。
(痛い子供だなぁ。わはは)
そうして大学入学。バイクの免許を取得した。
2台の国産車を乗り継いたのち
2001年に現在のショベルヘッドを手に入れた。
結局のところ僕が手に入れたバイクは
幼い頃に呪文のように繰り返していた…
「はーれーだびっどそん
えふえっくすえすてぃーしー
そふているかすたむ」
…ではなかった。
あれから様々なハーレーの知識を得ていく中で
より魅力的なマシンを知ったからだ。
それでも今なおソフテイルカスタムはとても魅力的だ。
僕にとって大きな大きなきっかけになった一台。
最近ではストックのFXSTCを見かけることも少なくなった。
だけど稀ながらこのマシンを目にする機会に恵まれたとき
僕はあの時の輸入車ショーで味わった衝撃を思い出す。
「Harley-Davidson FXSTC Softail Custom」
このマシンは
僕の大切な記念碑。
Photo & Text
マツモトカズオ